Headphone Junky

歴だけはそこそこあるホムシアオーマニの偏ったお話

ANANDAが来た。

 

ずっと欲しかったヘッドホン、HIFIMANのANANDAを入手しました。

半年ほど前にHIFIMANの現行ヘッドホンを軒並み試聴して、一番欲しいと思ったのがこれです。

そのときは、もし中古品があっても予算が数千円足りませんでした。しかし、個人的な都合で、どうしてもそのときに開放型のヘッドホンを買って帰りたかったので、なんとか買える価格帯の中でANANDAと似た表現に感じた、同じHIFIMANのDEVAを購入しました。

そのとき購入したDEVAは、ANANDAを購入するときに買取に出してしまったのでもう手元にはありませんが、安い上にBTで無線接続でき、その上その無線接続の音も良いと言う素晴らしいヘッドホンだと思います。

DEVAは、音質は価格以上に良いと思うのだけど、物としての質感は値段なりだと思います。全体にプラスチックと合皮を多用したデザインだ。特にプラにシルバー塗装したグリルは、チープ感たっぷりで、お世辞にも所有欲を満たせるものではないように感じました。

というわけで、DEVAで開放型の平面駆動ヘッドホンを満喫しながらも、いつかはANANDAが欲しいと思っていました。

 

欲しいと思っていたらなんとかなるものなのかもしれません。しばらく前にメーカーでANANDAを含む定価の値下げがありました。それにともなって中古価格の相場も下がったこともあり、中古品ならやっと手の届く価格になりました。某店で、新品同様の中古品が出たので、ぼくはDEVAを手放し飛びつきました。

 

さて、ANANDAが到着しました。

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購入時の一番のモチベーションだったデザインと質感は、さらに上位機種のAryaとほぼ同一ということもあってか良いと思います。金属を多用したこの質感で399g。なんとか400gにおさまっているのがうれしい。

 

装着感は素晴らしい。大きくて厚みのあるイヤーパッドは、少し固めですが、スカスカなグリルの形状などと相まって圧迫感が少なく、大型のヘッドホンの割にストレスは少なく感じます。

 

さっそく接続して聞いてみました。まず気づくいたのは、やはり、試聴は試聴だなあということ。試聴したときは、手持ちのDAPで行ったので同時に試聴したDEVAの、ほんの少しだけよい音、と言った印象でした。具体的に書くと一音一音が浮き上がって来るような音に、全周囲を包み込まれるような音に感じました。音がつかめそうな音といえば伝わるのでしょうか。

質感についてのみ、ANANDAのほうが重量感、実体感を感じられる程度の違いだったように思います。

 

ANANDAが無事到着し、家の自分の環境で聞いてみると、ANANDAはDEVAとは全く違う音です。ANANDAはレンジ感が広く、高音も低音もさらに出ているようです。そしてその高音も低音も速い速い。

速い低音は軽く聞こえることが多いような気がするのですが、実体感がともなっているので速いけれど重い低音に聞こえます。

高音も素直に伸びていて、普通ならここまで伸びると刺さりそうなものですが、音作りのうまさでしょうか、ぼくの耳には刺さっては聞こえません。

振動板が薄く、反応が速いせいか情報量が多く、聞き始めた当初から慣れるまでは、その情報量に耳がついていきませんでした。

そして音場が広く、定位がピンポイントで決まります。前回、OPPOのPM-2のレビューで、定位がすばらしいと書いた気がするのですが、それを軽々と超えてきます。

PM-2の場合は、構造的に耳からの距離が近いこともあり、頭のすぐソコに音が定位する印象でした。ANANDAの場合はかなりゆったりとした距離を取った上でキレイに定位します。

実験的にYouTubeに上がっている立体音場系のソースを聞いてみました。 

やはりANANDAのほうがキレイに距離感を伴って定位します。

個人的にこの、距離感を伴って、というのは非常に重要で、情報量があっても距離感が近すぎると、音が干渉しあって重なり、混濁して聞こえるように思うので、ANANDAのように距離感を伴って情報量が多いというのは楽曲を把握する上ですばらしい美点に思います。

 

今回の記事の最初に、ANANDAは価格改定で安くなったとき書きました。正直、もともとの定価、10万円でも、この性能なら安いんじゃないでしょうか。それが今なら7万円に消費税で新品が買えるのですから、バーゲンプライスと言っても差し支えないでしょう。

ぼくのメイン機のMr.SPEAKERSのETHER Cは定価約21万円。好みを別に、情報量や音の反応の速さ、位相など、ANANDAは勝るとも劣らないと思います。

反対に、定位のよさなんかは、ANANDAのほうが上なんじゃないでしょうか。

 

HIFIMANにはまだ、ANANDAの上のクラスに数機種存在します。いったいどんなすばらしい音なのでしょう。まだ今のところ、ANANDAで充分満足していますので、手は出さないと思いますが、いつか機会があれば、聞いてみたいと思います。聞くのが怖いような気もしますが。