LSA HP-1(非KENNERTON)レビュー
手元に来たLSA HP-1について書いておこう。
このヘッドホン、国内販売はなく、購入するとなると個人輸入しかないわけだ。
それがハードルにならない人や、ぼくのように個人売買で手にする人がいる可能性はゼロではないだろう。
まず、手元に来たLSA HP-1は、中古ではあるが極上品だった。傷ひとつ見当たらない。
木製ハウジングのヘッドホンは数多くあるが、その木目のハウジングに傷が付いていると、個人的にはテンションが下がる。
イヤーパッドとヘッドバンドにもほぼヤレはない。すばらしいコンディションだ。
気軽に使う用に購入したのだが、綺麗すぎてラフに扱うのがもったいないような気もする。
装着感も予想通りすばらしい。
KENNERTONの日本正規品はモデルの世代が旧いらしく、ヘッドバンドの調整が長さを調節後、ネジで止めるようになっているようだ。
現行品は、バネの力だと思うが頭に乗せるだけで調整要らず。すばらしい機構に改良されている。
そのヘッドバンドは、重量の分散もうまくしてくれているようで、今まで使ったヘッドホンの中で一番重いにも関わらず、特に重量感は感じなかった。
いよいよ音出しだ。
一聴して驚いた。情報量が多いのだ。先日購入して、自分のリファレンスとしている、SONOMA MODEL ONEと比較しても情報量が減ったとは感じない。
レンジについても高域はSONOMAに軍配が上がるが、低域への伸びはHP-1のほうがよいようだ。
空間描写に優れ、音場も広い。楽器やボーカルの距離もしっかり取れているように感じる。
なんだったらSONOMAよりも音場は広いようだ。
音と音が重なったときの奥行き感も問題ない。
キチンと奥と手前に表現されている。
分離も良いのだが、キツい音は出さない。
勝手な想像だが、ハウジングのウッドが、耳あたりを緩和してくれているのではないだろうか。
その証拠か、よくよく聞き込んでいくとSONOMAと比較すると、若干ではあるが音像が大きく、ほんの少し音の色数が少ない気がする。
ただ、これは過剰ではない。強いて言えばというレベルの話で、今まで使っていた過去モデルのほうがそれぞれの個性が大きかったと感じる。
HP-1の出音は、ほぼニュートラル。レンジは弱ドンシャリ。ほんの少しだけ木のニュアンスが乗ると言ったところか。
同じく平面駆動で長らく愛用しているヘッドホンに、MR.SPEAKERSのETHER Cがある。
このヘッドホンも解像度が高く、情報量も多い。先日の引っ越しの際にこれ以外のヘッドホンはすべて手放した。それくらいこのETHER C、音質的には気に入っているわけだ。
しかし、HP-1は、ETHER Cが得意とするワイドレンジ感、情報量、解像度、すべてにおいて優っているように感じる。
その上にHP-1は実体感が非常に高い。これは出音のダイナミックレンジが高いのが条件なのだと、個人的には思うのだ。
この部分はETHER Cをはじめ、平面駆動や静電型の苦手な分野だと思っていた。
HP-1からの出音は、ぼくのその思い込みをあっけなく覆した。
ベースとなったKENNERTONのODINについても少し触れておこう。
ぼくは今までに試聴したことすらない。
これから書くことはネット上での評判をぼくの頭の中で解釈したものだ。
ODINは、音が軽くなりがちな平面駆動を使用したヘッドホンの中でも、重い低音を出すことで有名で、重量が重いためか装着感に注意する必要はあるが、気に入れば他の機種では代替できない魅力のあるヘッドホンだそうだ。
LSAのHP-1をぼくが聞いたところでは、本体が軽くなったせいか装着感は快適、その分低音は、軽くはないが特に重たいとまでは言えないように思う。低音は重たさよりも、スピード感が速い低音と言えると思う。
HP-1。あまりメジャーなヘッドホンではないが、もし見かけたら試聴くらいはしてみる価値はあると思うのだ。