Headphone Junky

歴だけはそこそこあるホムシアオーマニの偏ったお話

「醜いアヒルの子」 ウエストリバー製アンプ編

いままで、このブログは、ヘッドホンのレビューを中心に書いてきました。

ぼくが他のかたの機器のレビューを読む場合、その機器の感想だけを読んで、その機器をわかった気になることは非常に危険だなと、つねづね思っています。

 


音源からDDCDAC、アンプを経由し、最終的にヘッドホンへ。また、それらをつなぐケーブルも含めた音が聞こえてくるということで、本当なら、そのレビューが、どんな環境で聞いて書いたレビューなのかを、はっきりとしておくことは本当は非常に重要なことなのかもしれません。

 


というわけで、今回は、ぼくの使っているヘッドホンアンプについて書いておこうと思います。

 

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うちのアンプは、ガレージメーカー製です。ガレージメーカーというと作っているかたには怒られるかもしれませんが、もともと大学で教鞭を取られていた川西先生というかたが個人で製造、販売されている、ウエストリバーというメーカーのものです。

川西だからウエストリバー。うん。わかりやすい。

エストリバーでは、ヘッドホン専用アンプはとくに販売していないので、プリアンプに付属しているヘッドホン端子にヘッドホンを接続して聞いています。

ちなみに、ウエストリバーのホームページは、下記にあります。

 


http://west.wramp.jp/

 


こちらのメーカー=川西先生の考えかたは、現状、他メーカーのアンプには、回路上に解決できていない問題がある。そのアンプの回路上の問題から、高域にノイズが乗りやすく、CDなどのデジタル音源がデジタルっぽく、固く聞こえるのはそのノイズが原因であるらという考えかただそうです。

ぼくなりの解釈なので、間違っている部分もあるかもしれませんが、大筋でこんなところでしょうか。

そして、川西先生が所有している特許により、そのノイズをなくすことで、デジタル特有の固さを取り、自然な音に再生することができるというのが、ウエストリバー アンプの主張と考えていいと思います。

 


ぼく自身、ホームシアターでサラウンド環境を作っていたこともあり、アンプ遍歴はいわゆるホームシアター用のAVアンプからはじまり、そのままAVプリアンプなどを経、当時は、アキュフェーズのマルチチャンネルプリアンプ、CX-260を使っていました。このアンプはちょうどその頃、SACDDVD-AUDIOをそれなりの環境で鳴らせるように開発されたもので、AV用としては抜群に音がよく、コンセプトも、ありそうでなかなかない優れものでした。ヘッドホン端子の音もかなりよく、まだ今ほどヘッドホンに力を入れていなかったこともあり、充分に満足していました。

その環境で、特に音質上の問題を感じていなかったので、ウエストリバーアンプの主張には懐疑的でしたが、このウエストリバーアンプは、自宅試聴させていただけるということで、連絡してプリアンプの試聴機を送ってもらうことにしました。

 


到着した試聴機の見た目がひどい。

ペラッペラの安っぽいケースに、適当につけられた音量ダイヤル。そしてスナップスイッチの上には、マジックで手書きされたオン、オフの文字が見えます。

まあ、ぼく個人は、音さえよければ見た目なんかどうでもいいのですが、本当に手作り感満載で、アキュフェーズの重厚な筐体の横に並べると、正直言って見た目では勝負にならないな、というのが偽らざる感想です。

 


そういうわけで、あまり期待せずにプリアンプのみ交換、結線し、スピーカーから聞き始めました。ヘッドホンアンプは、当時DACとしても使っていたRMEの、FIREFACE UCがあったので繋ぐ気はありませんでしたので、とりあえずスピーカーへ。

これが驚きました。メーカーの主張する音、高域のノイズが少ない音なのかはぼくには分かりませんでしたが、スッと耳に入ってくる自然な音が出てきました。聞き方によってはすこし力感がないようにも聞こえるのですが、その、ぼくが力感と思っていたのは、実は歪みだったのかもしれません。

ぼくはすぐにプリアンプを購入したい旨のメールを川西先生に入れました。

お返事はすぐにあったのですが、製作ににひと月ほどかかるということで、それまで試聴機をお借りできることになりました。

 


その後、一週間ほど経ち、試聴機に付いているヘッドホン端子に、なんの気無しにヘッドホン(その当時はGRADOのPS500だったと思います)を刺したところ、こちらからもFIREFACEのヘッドホン端子よりも自然な音が出てきてさらにびっくりしました。

 


実際に届いたプリアンプ、WRP-α9は、試聴機よりもずいぶんまともな見た目でした。既成の箱だそうですが、筐体としては普通です。

ただ、ツマミのデザインが気に入らなかったので、後日ツマミだけamazonで購入、そのツマミは中国から来たので到着に一ヶ月半ほど掛かりましたが、質感もよく!気に入っています。

 


というわけで、ヘッドホンアンプとしてもウエストリバーのプリアンプを使用することにしました。

 


その後、ヘッドホンアンプは、店頭で聞いて即買いした、マランツのHD-DAC1に一時的に浮気したこともありますが、やはりぼくの耳には、ウエストリバーアンプの音が合うようです。

エストリバーアンプのヘッドホン端子は、自然なだけでなく、駆動力もすこぶる高いようで、最近では、鳴りにくいと言われる平面駆動型のヘッドホンばかり使用していますが、鳴らしにくさを感じたことはありません。

たまに気分転換にFIREFACEでも聞きますが、駆動力含め、やはりウエストリバー アンプのほうが好きです。

 


結局、ウエストリバーアンプは、追加でパワーアンプも購入。プリアンプともども、数度のバージョンアップを経て、いまもすばらしい音を奏でてくれています。

もともとの価格も音質考えれば破格に安いですが、バージョンアップもかなり手を出しやすい価格で対応いただけました。

安価に、機器の買い替えなしで、常に最新の状態で聞けるのは、非常にありがたいことだと実感しています。

プリアンプに付属していることのメリットとして、もちろん筐体が減るということもありますが、プリアンプのバージョンアップのたびに、ヘッドホンアンプとしての性能も上がることも挙げられると思います。

 


いちばんの懸念は、失礼かもしれませんが、ご高齢の川西先生が、ほぼ個人でやっているウエストリバーアンプが、いつまで購入できるのかということです。

いまのところ代わるものがないだけに、この点は、意外に切実だったりします。