Headphone Junky

歴だけはそこそこあるホムシアオーマニの偏ったお話

ヘッドホンに美は必要か?ZMF AUTEUR購入。

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ORIGINAL VOICE 972PROのレビューはまたにしよう。
届かなかったとかのオチではない。ヘッドホンは発注して翌日には無事届いた。
ぼくが手に入れた972PROは、完全に新品だったので、まだ音が変わり続けている。
感想を書くのはもうしばらく経ってからのほうがいいだろう。

ほぼ同時に別のヘッドホンも届いた。
例の、知人に評判を尋ねた機種だ。
名前をZMFのAUTEURという。

国内でも販売されているが、売れているという話は聞いたことがない。
日本語のレビューも、あるにはあるが少ない。
ZMFは、ヘッドホンメーカーとしてはもともと、FOSTEXの平面駆動ヘッドホン、T50RPをアップグレードして販売するメーカーだったそうだ。
T50RPは、素材として非常にすぐれた機種だったんだろう。同じようにT50RPを改造して販売するメーカーとして、MR.SPEAKERSがある。個人的にはすばらしいヘッドホンメーカーだと思う。
その後、両メーカーともチューンナップメーカーから、完全自社生産のヘッドホンを作るヘッドホンメーカーとして発展している。

もともとMR.SPEAKERSのヘッドホンが好きだったことから、 同様の経緯から起業されたZMFは、気になるメーカーだった。美しい木製のハウジングも素晴らしい。
ただぼく自身、以前にも書いたが、平面駆動、静電型に傾倒している。ZMFは平面駆動のヘッドホンは作っていない。今までなかなか購入の候補にはならなかったのだ。

では、なぜ平面駆動ではないヘッドホンを買ったのか、だ。
その前に、ぼくがなぜ平面駆動のヘッドホンが好きなのかを書いておこう。
平面駆動のヘッドホンの高域が、ぼくの耳には特別自然に聞こえるのだ。
もう何年も前のことだ。ぼくはFINALのヘッドホンを愛用していた。
今のように、使い分けるためのサブのヘッドホンを持っていなかったせいか、イヤーパッドもヘッドバンドも破れ、ケーブルも断線してしまった。
次のヘッドホンを買うために試聴の旅に出た訳だが、そんなときに出会ったのがMR.SPEAKERSのETHER Cだ。
何台も比較した上で、ETHER Cの自然な高域に惚れた。
そこからずっと平面駆動に傾倒することになった。

ときは過ぎ、今年に入ってHD800Sを購入前提で試聴することができた。
HD800Sは、もちろん平面駆動ではない。コンベンショナルなコーン型ではないが、いわゆるダイナミックタイプのリング振動板を採用している。
HD800Sの試聴では、高域の歪みを全く感じなかった。自然な鳴りかたで、JADE2以外で、これなら、と思ったのがHD800Sだったのだ。

よいヘッドホンなら、平面駆動でなくともよいのかもしれない。
平面駆動ばかり使っているからこそ、ちがう方式のヘッドホンを持っておきたい、と、気持ちが変化していった。

ZMFが、以前平面駆動のヘッドホンをチューンナップしていたことや、このヘッドホンのドライバーの材質が、多数の名ヘッドホンに使用されているバイオセルロースであったことも、この機種を選ぶ理由になった。

というわけで、ZMFのAUTEURの出物を見たぼくは、以前所有されていた知人に傾向を聞き、背中を押してもらえたこともあり、購入することにした。

手元に来たAUTEURは、美しかった。
大きな艶のあるハウジングに黒く塗装された金属製グリル。
同じ木製ハウジングのHP-1が、機能美だとしたら、このAUTEURは壊れやすく、はかない芸術品といったところだ。
傷をつけたときのショックはAUTEURのほうが大きいだろう。

モデルネーム、AUTEURの日本語訳は「著者」だ。
趣味で小説を書くぼくは、この機種名にも惹かれたことを最後に告白しておこう。