Headphone Junky

歴だけはそこそこあるホムシアオーマニの偏ったお話

イシノラボ製真空管ヘッドホンアンプ届く!

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さて、やっとイシノラボから特注のヘッドホンアンプが届いた。
本当なら、もっと前に入手できるはずだったのだが、最終オーダーのメールが不達で、納期が10日ほど延びたり、アンプ到着後も、手持ちのヘッドホンのインピーダンスが低過ぎ、クリップし、メーカーに出戻るなどの、思いがけないトラブルが続いた。

特に手持ちの中でもETHER Cと、972PROでは問題は完全には解決しなかった。
今まではそんなに鳴らしにくいとは考えてなかったのだが仕方ない。
静電型のヘッドホンとダイナミックタイプのヘッドホンでは使うアンプの端子が違う。それぞれ違うアンプを使うことになる。繋ぎかえが面倒なので、STAX用のアンプと、通常タイプのヘッドホンアンプを共用できればと考えていたのだが、手持ちのヘッドホンに使えないものがあるのは想定外だった。
なかなか頭の痛い話だ。

アンプの話に戻ろう。
昨今の電子部品不足のせいも有ってか、現在トランスが入手不可能だそうだ。
今回はバランス接続用とアンバランス接続用にそれぞれ別に使ってもらう予定で話を進めていた。
トランスの入荷を待つ手もあったが、イシノラボさんより、手持ちの中古トランスを使用する提案を受けた。
価格もその分お安くしていただけるとのことだった。
納期のこともある。ぼくはふたつ返事でお願いすることにしたのだ。

到着したアンプは、ケースが樹脂製ということで安っぽく、正直がっかりした。複数のトランスを使用していることもあり、ケースの割には重量感がある。まあ、実質主義といえないこともない。

電源を取ってピンケーブルを接続する。電源を入れる。まったくの新品だ。しばらくは通電しておく必要があるだろう。

さあ音出しだ。もちろん一番興味があるのは、STAXの009Sを繋いだときにどんなふうに鳴るのか、だ。
小一時間通電していたアンプの電源を一旦落とし、ヘッドホンを接続、もう一度電源を入れる。
ヘッドホンを耳に当てると、小さなノイズが聞こえる。
電源かRCAケーブルからのノイズだろうかといろいろと探ってみたが、結局症状は変わらない。
まあ真空管式を選んだ時点でS/Nはあきらめている部分もある。

気を取り直してボリュームを上げる。
音楽が流れはじめる。この時点で、ノイズはまったく気にならなくなった。

ヘッドホンから、最近お気に入りのインストロックが流れはじめた。
ツインギター、ベース、ドラムの3ピース構成だ。
まずギターの音だ。以前のアンプ、HIFIMANのJADE2アンプで聞く音と比べると、響きが多く弦の太さが太くなったように聞こえる。
音の色数が増え、手垢のつきまくった表現だが、油絵のような、と言いたくもなる。
JADE2アンプで聞いていたときにはギター2本、ベース、ドラムの出どころがハッキリと、そしてコンパクトで立体的に把握できていたのが、イシノラボアンプで聞くと、定位や奥行きはそれなりにはっきりしているものの、それぞれの音の像が大きく、かなり混み合う印象だ。
演奏を俯瞰して聞く、というよりも、演奏の中に放り込まれたように感じる。

これで解像度が低く、ボケた音だったら使い途に困るところだ。
このアンプの面白いところは、解像度、情報量共にJADE2アンプよりも明らかに上回るところだろう。
比較すると、特に最低域はJADE2アンプではかなりカットオフされていただろうことがわかる。
ただ、その低域の制動がイシノラボアンプはゆるいのだ。膨らむだけなら個性ですむのだが、最低域が入るとその低音が割れることになる。
また、当然他の帯域にも影響を与えることになる。途端に全体の解像度が悪くなる印象だ。

イシノラボのアンプをオーダーしてひと月半。待っただけに、なんとかメインのアンプとして使おうと、脚元に始まり、電源ケーブルRCAケーブル等々。
エージングも進んで、多少マシにはなったけれど、上に書いたような個性はなくなりませんでした。
このアンプの個性は、色付けとして、適するソースを楽しむならいいのだろうけど、リファレンスとしていろんな機器の個性を発揮させることはなかなか難しいのかもな、と思いはじめているところだ。